胎児水腫となって死産した話②
6w〜胎芽確認
前回、無事胎嚢を確認できた私は気持ちにも余裕が出てきたので、診察に行く日を勝手にずらし、妊娠数週およそ6週0日にあたる日に行くことにした。
もう胎嚢は見えているから、オールライトでしょう。
その時の私はそう信じていた。
後に号泣することになるなんて夢にも思わずに。
見えない悪夢が再び・・・。
6w0d
会社帰り、いそいそと病院へ急ぎ、受付を済ませると待合室のソファーでスマホを取り出し、ゲームなんかをする。
その間にも下腹部が時折ズキズキと痛んだが、痛みが長く持続するわけでもなく、出血も前回の診察以降一度もないのでどこか安心しきっていた。
心にゆとりがあると、それがゲームにも現れ、なんだかいつもよりもサクサク進んだ。
すると、看護婦さんの私を呼ぶ声。
調子の良い時に限って早く呼ばれるな、なんて思いながらも急いで診察室へ向かう。
先生は初回に診てもらった先生だ。
「前回胎嚢があったんだね。じゃあ診ましょうか。」
彼はそう言うと、さっそく準備に取り掛かった。
私は余裕の表情を浮かべながら、ゆっくり椅子に座り、得意げにエコーモニターを見やる。
「いきますよー。」
モニターに映し出される胎嚢。
それを見て喜ぶ私。
すると。
「うーん、、、ないな。」
「・・・?」
「普通この時期だと胎嚢の中に赤ちゃん(胎芽)が居るはずなのに、いないね。」
「・・・・・???????????」
「この辺が怪しいかな?・・・・でも見えないな。」
「・・・・・(どういうことだってばよ・・・?!)」
「とにかく、来週また診せてください。でも来週見えなかったらおかしいから。」
「見えなかったら流産ね。」
「え・・・・・。」
「(R、、、RYUZAN・・・・?!また?!)」
「普通この時点で50%以上の人は胎芽見えるから。」
「流産だったら掻爬手術をします。」
「・・・・・・・え?・・・・え?」
「はい、じゃあこれエコー写真ね。」
胎嚢が確認できて、これでもう安泰だと思っていたのに、再び地獄へ突き落とされた。
頭がボーッとし、目頭が熱くなる。
診察室を出る時には今にもこぼれ落ちそうなほど目に涙が溜まっていた。
やっぱり流産になるのか・・・。
会計を待つ間、すぐさまスマホで調べた。
すると、6週で胎芽が見えずとも無事出産までたどり着けたという情報もあるが、結局そのまま流産となってしまったという情報も氾濫していた。
私の場合、これで二度目の「流産になるかもしれない宣告」なので、かなり弱気に。
(これはもう・・・本当にダメかもしらん・・・。私、流産するんだ・・・。)
スマホを見ながら泣いた。隣にも人がいるのに、溢れ出る涙を止ることができなかった。会計時もまた然り。
逃げるように病院を出ると、まっさきに彼に電話した。
「今度こそダメかもしれない・・・。」そう嗚咽を漏らしながら話す私。
すると彼は「大丈夫だ。前回もそう言って大丈夫だっただろう。」と言って必死で私を元気付けようとしてくれる。
「ありがとう。そうだよね。」
彼の言葉は嬉しくもあったのでそう答えたが、私の頭の中ではダメになる方が勝っていた。
多分もうダメだよ。期待しないでね。
本当はこう言いたかったが、折角励ましてくれている彼に対して悪いので、話の終わりころには、きっと大丈夫!と言い合った。けれど、どこか2人とも声に影があった。
電話を切った後は、道ゆく人に泣き顔を見られたくないので、俯きながら早足で家に帰った。途中、時折顔を上げると目が合う人合う人、ギョッとしたような表情をしていた。
家に着くとひとしきり泣いた。涙が出なくなるまで泣いた。
その後お風呂に入ろうと脱衣所へ行くと、ふと胸の張りがなくなっていることに気がついた。
それまではずっと張っていたのに。
(ああ・・・・。もう本当にダメなんだ・・・・。)
明日はひどい顔になるな、と思いつつも、その日は眠るまでひたすら泣き続けた。
続く