zabeblogのブログ

4度の流・死産の末、離婚したバツ2女の日常

胎児水腫となって死産した話⑧

前回のお話

12W5D 妊婦健診にて

「わぁ、、かわいい、、、、!」思わず口をついた言葉に、若い医師はまるで小さい子供をあやすかのように優しげに「うん、かわいいねぇ。」と相槌を打った。

エコー写真では解り辛いのだけれど、モニターの中には確かに、目鼻立ちのはっきりした我が子が映し出されていた。
その姿はどこからどう見ても、まんま人間の赤ん坊。
寝ているのか、特に動くこともなかったが、それでもすごく可愛くて何時間でも見ていられる気がした。

「あれ?」
私がうっとりしていると、不穏な声が耳に飛び込んできた。
まさか、何か問題でもあるのだろうか?疑わずにはいられない。

「妊娠数週って今12週ですよね?合ってます?」
どうしてそんなことを聞くのか解らなかったが取り敢えず「はい、合ってます」とだけ答えた。

「そうですよねー。あのー。まあ、全然問題はないんですけど。」
「はい?」
「全然問題はないんですよ、全然問題はないんですけど、大きさが、少しだけ小さいんですよね。」

小さい‐?

その言葉に私は呆然とした。
最初から小さい小さいと言われてはいたが、最近ようやく標準の大きさに追いついた。それなのに‐。
やはり成長が遅いのか‐?

「でも、少し小さくても正常の範囲内ですから、気にしないでください。最初小さくても、これから大きくなる子も沢山いますから。ただ、出産予定日は少しかわるかもしれません。」
若い医師は私をなだめる様にそう言った。あくまで無事出産に至れるのだ、という含みを持たせながら。

それを聞き、私は少し落ち着きを取り戻し、彼の言葉を素直に呑み込んだ。
あと3週間後には安定期に入るのでさすがにもう大丈夫だろう、という自信も手伝って。

「そうですか。正常範囲内なら良かったです。」

しかし‐。
今思えば、これも失敗だったのだ。

後に知ることになるのだが、その若い医師は実は研修医。
恐らくお盆期間中でベテラン医師達が休みを取る中、代わりに出させられていたのだろう。慣れない手つきで、のろのろとマイペースな診察をしていた。

<あの時もし、妊婦健診の予約がお盆期間前に取れていれば。あの時もし、診てもらうのが研修医じゃなかったら‐。
操、今頃君はまだ私のお腹の中で夢を見続けていたのだろうか‐。>

続く

続き