zabeblogのブログ

4度の流・死産の末、離婚したバツ2女の日常

初めての内視鏡検査 〜おしまい〜

ーーーそれからもう、3ヶ月が過ぎた。
 一か八かで放置していれば勝手に治るかな、なんて思いもしたが、未だにその原因不明の腹痛に襲われている。
 あの検査以来、処方された痛み止めと懇意にしているかいもあってか、幸いにも床に転げるくらい強い痛みには襲われてはいないが(痛みを感じたらすぐに痛み止めを飲むから)、それでも、思わずうずくまってしまうくらいの痛みなら、月に2、3回くらいの割合でやってくる。
 この痛みの感じがやっぱり陣痛に似ているのだ。

 そういえば、第一子を死産した後数ヶ月間、下腹部に痛みが続いたのだけれど、その時診てもらった医者にこれを「精神的な妄想」だと嗤われてしまった。そんなわけあるかボケが。である。だって、すごく楽しい時だって、痛みに襲われるんやぞ、精神関係ないがな。お前が男だからわからんだけじゃ。なんでもかんでもわからんことは精神科案件にすればいいと思いやがって。もっと気を使えや。仮にわからなくても「恐らくは、細胞がまだ完全に修復できてないんでしょうね。」みたいにふわっとした感じで言えるだろが。も少し無い頭搾れよじじい。

 でも、ほんと、私が思うに、多分痛みの原因ってまだ組織が修復できていないせいなんだろうな、と思う。そら2年間で4回も流死産なぞをしていたら、組織がボロボロになって、あのくらい大きな痛みが来てもおかしくないし、その上、寒い時や天候が悪い時に限って古傷が疼くように、痛くなる。しかも、限定品をゲットするなどして、舞い上がっている最中にすら痛みが来るんだから、絶対精神的なものではないだろう。

 従って、勝手ではあるけれど、この痛みの原因は、細胞及び組織の傷によるもの、だと結論付けた上でちょっとお話しさせていただきたい。

 それは。

 絶対に周りに流されるな。

 ということ。

 私の場合、流された。流されまくって、こうなってしまった。
 
 人は簡単に言う。「ダメでもまたすぐにつくれば良いよ。」と。
 だが、腹の中で人間を創り上げる大仕事を何でそんな簡単に言えようか。それに、そんな大仕事の後なんだから、回復にだって当然時間がかかる。すぐになんて、とんでもない話だ。

 だけど、私は馬鹿だから、他人の言葉に流されてしまった。本心では、自分の体のことも考えると、次をつくるのは1年くらい経ってからが良い、と思っていたのに、結局「歳だから早くしろ。」だの、「別に医者が3ヶ月空けたら次つくっても良いと言っているんだから、良いでしょ。」と言う雑音に従ってしまったのだ。

 後悔している。

 夫とも、最初から分かり合えなかったし、何より、擦り合わせることすら不可能だったのだから、早く決別すべきであった。そうすれば、悲しい思いはしなくて済んだし、こんなにも痛い思いもしなくて済んだのだ。それに、子ども達だって苦しまずに済んだのだろう。
 とは言え、こうした惨めったらしい現在になってしまったのは、実は夫でも、他の誰のせいでもない。だって、こういう未来に向けて歩を進めたのは、私自身なのだから。今、は私が多くの間違えた選択をしてきた結果だ。だから、悪いのは私。

 それを踏まえた上で思うのが、まだ未来のある皆さんには私と同じ過ちをしてほしくない、ということ。
 だから間違えないように、よく聞いてほしい。
 多くの他人は所詮、あなたの悩みを他人事としてしか思っていないのだ。なんかそれっぽい、耳触りの良い言葉を言えばあなたが喜ぶと思っているだけなのである。決してあなたの人生について真面目に考えているわけではない。あなただって、実はそうだろう。故に、人の言葉なんぞはそう易々と信じてはならない。あなたの人生はあなただけのものだ。誰かに決められるものではない。自分を信じろ。そして。
 
 自分の人生を生きろ。 



 
 

初めての内視鏡検査 〜検査〜 Part.3

 行きに反し、帰り道は楽だった。
 ほとんど痛みを感じることなく、カメラはスルスルと肛門から滑り出た。
 そして、そのカメラと共に、私の力も一気に抜け落ちた。
 ゆえに、先生から「起き上がってください」と言われても、うまく動くことができなくて、まるで今わの際の御老体みたいにひどくゆっくりと起き上がった。足が震える。

 「さっきも見た通り、腸が少し炎症を起こしている程度で、問題はありませんから。」

 先生の言う、さっきも見た通り、とは、私は凄まじい痛みで余裕がなかったため見ていなかったのだが、終始私の腸内の映像がモニターに映し出されていたのだ。
 どうやら先生曰く、炎症している部分以外は綺麗な腸だったらしい。
 しかし、そんなことより何よりも、がんでないことに心底ほっとした。

(グロ注意↓)

ごっつええ感じ


 「とりあえずガンじゃなくて良かったです。ありがとうございました。」
 
 先生に礼を述べると、先生は「しかし痛みの原因はわからないね。」と言う。確かに。
 「とりあえず、痛み止め、多めに出しておくから。それでも、すごく痛くなったりしたら、また来てね。」

 そんなわけで、腹痛の謎を解明できぬまま、依然として朋ちゃんのバラードがしっぽりと流れ続ける検査室を後にしたーーーー。

続き↓



初めての内視鏡検査 〜検査〜 Part.2

 

 そうは言っても、ちょっと痛い、程度でしょ。へーきへーき。
 と、思った刹那、猛烈な痛みが腹を突き刺す。
 「ヒィッ!」
 私は思わず声をあげ、体を少しのけ反らせた。どうやら腸のカーブで、綺麗に曲がりきれなかった内視鏡カメラが腸壁を擦ったようだった。しかし、別に腸に突き刺さった訳でもないのに、それがまさかそんなに痛いだなんて、知らなんだ。

 「いいいいい、痛いです。いたっ!いいいいいだいい。。」
 その時の感覚を例えるとするなら、皮膚と肉の狭間に一匹の蠢く甲虫がいて、そいつが心臓めがけ、一心不乱に猛進してくる、といった感じだったのだけれど、この虫が人の腸壁にまあぶつかることぶつかること。そのたんびに、上記の通りに阿鼻叫喚。けれど、先生は慣れていらっしゃるから「ガス出すと楽になるから大丈夫だよ。」の一点張りで、更には「ガスを出さないから痛いんだよ。」と私が屁をこかないせいにしてくる有様。
 いや、まあ、そりゃそうなんだけれども。でも出ないんですよ。屁が。私だって出したいんですよ。でもどんどん下からカメラが突進してくるので、出そうにも出ないんですよねぇ。ほおら。私はそう思いつつ、いきんでみるもやっぱり出ない。ちなみに、心の声を余裕ぶった口ぶりで書いているけれど、実際はこの時マックスで腸が痛く、いきみながら涙を堪えてもいたのだ。そしてー。

 「まままだ・・まだ、で、ですか?ももういいいいです。」
 おそらくカメラが腸の半分まで来たであろうところで、私は痛みのあまり、もうリタイヤしてしまおう、と思って先生にそう言った。でも先生はモニターに映った私の内部を見ながら、
 「大丈夫!ちゃんとシーツも引いてあるから!全部出しても大丈夫だよ!」と言った。全く言葉が通じていない。
 仕方がないので、私は痛みから気を逸らすべく、BGMの朋ちゃんに集中した。ラ〜ブブレ〜スと歌っている。おそらくジャケ写に写っているカルティエのラブブレスについて歌っているのだろう。だが、サビのcarry on love breceって一体どういう意味?ラブブレスを運ぶ?意味がわからない。まったく、to shay shay boyといい、小室の英語はあれだな、土産物屋で売られている意味の通らない英語が書かれたTシャツみたいだな。雰囲気重視で軽率、だけど、、「ピギャーーー。」
 結局、不規則に加えられる痛みの中で別のものに集中することなど不可能であった。

続く

続き↓


 

 
 
 

初めての内視鏡検査 〜検査〜 Part.1

 検査室に入ると、機材に囲まれたベッドの前で、すでにオペ着に着替えた先生がゴム手袋をはめてスタンバイしており、おまけにその無機質な室内には、先生の趣味と思われる音楽が大音量で鳴り響いていた。
 「うつ伏せになって下さい。」
 
 ーこのイントロには覚えがある。90年代初頭っぽいダンサブルな感じ。そこに乗っかる鼻にかかった甲高い声。朋ちゃんだー。
 
 私は先生の指示の通り、診察台にうつ伏せになった。すると次は、左側面を下にして横を向くように言われたので、その通りにした。
 
 「では始めます。」
 
 その声と共に、尻に冷たいゼリーを塗りたくられた。だが、そこでようやく、私はあることに気づく。
 
 ーあら?ちょっと待って、麻酔、しないの?ー
 
 先日、母の友達も内視鏡検査を別の病院で受けたらしく、母の話では、その時、その友達は全身麻酔をしたから何の痛みも感じず、楽勝だったそうだ。
 だから私は、てっきり麻酔がデフォだと思い込んでしまっていたのだ。
 
 ーえ、麻酔なしなの?どうしようー
 
 しかし、考える間もなく、ひんやりとした物体Xが遠慮なく私の内側に入ってくるのを感じた。そして、物体Xは不気味に蠢きながら私の中を突き進む。
 ・・・だが、意外となんてことはない。ただ、虫が這いずっているような感じがするだけで、痛くはないのだ、全く。そのため、私は拍子抜けし、わはは、なんだヘッチャラヘッチャラ、チャーラーヘッチャラ、なんて胸の中で陽気に歌い出すなどして、すっかり余裕をかましていたところ、先生がポツリ。
 
 「次のカーブ、痛いからね。」
 
 え?ー

 高まる伴奏と共に、粘着くつ歌声は大きく伸びながら私の頭の中を駆け抜けてゆくー。

続く

↓続き


 

 

初めての内視鏡検査 〜検査前〜

 

 予約した時刻の15分前に病院に到着すると私はすぐさま売店へ赴き、そこで、尻の部分がまあるく切り取られたちょっと間抜けな紙製の検査着を購入した。それから受付に行くと、まるでVIP並みにすぐに診察室へと通された。

 戸をガラリとスライドさせると、先生はちょうどデスクに向かって何やら仕事をしていたが、私が入るやいなやギロリと私を睨みつけ、最終意思確認をした。
 「ああ、○○さんね、じゃあこれから内視鏡検査するけど、大丈夫だよね?」
 この時はまだ、私は先生のこの質問の本当の意味が理解できていなかった為、余裕綽々でこう答えた。
 「はい!全部出してきました!」今考えるとバカ丸出しである。
 すると、先生は安心したようで、側にいた太ったおばさんナースに私を託して診察室を出ていった。
 
 「じゃあ、こちらへどうぞ。」
 ナースはそう言って、私を処置室へ案内した。すると今度は、その処置室の出入り口のところに置いてあるベッドの仕切りのカーテンの中で着替えをしろと言う。
 しかし、そこは一応私も女なので、いくらカーテンで仕切られているとは言え、こんなに人の出入りの激しいところで着替えるのは嫌だな、なんて思いながらも小心者が故、結局言われた通りなるべく素早く検査着に着替えたが、しかしその検査着が、前から見ると普通の検査着、でも後ろから見たら尻丸出しという、まるでびんぼっちゃまくんみたいな可笑しさなので、着替えを済ました後もやっぱり恥ずかしく、カーテン越しに人が通るたびに胸をざわつかせながら再びナースが迎えに来るのを待った。けれど、5分待てど、10分待てど、ナースは現れない。しかも、疲れたのでベッドに腰掛けようにも、尻を直に布団につけることに何か抵抗感があるため、座れない。仕方ないので、スマホのゲームで暇を潰しながら更に5分ほど待っていると、遂に、カーテンがシャッという音とともに開いた。
 「お待たせしてすみません。じゃあ、さっそく検査室へ行きましょう。」
 

続く。

続き↓


初めての内視鏡検査 〜そこに至るまでの経緯〜 part.3

 こうして内視鏡検査とやらを受けることとなった訳だが、診察の最後に先生から、検査は初めてか?と聞かれたので頷くと、ナースに人一人が入れるくらいの狭い個室へと連れて行かれ、そこでモビプレップなるものを説明するビデオを見させられた。

 しかし、その時は癌だったらどうしよう!という不安も相まって、ビデオが全く頭に入ってこなかった。ただ画面の表面だけを撫でるように眺めているうちに、いつの間にかビデオは終わっていた。ナースは私に向かって更に何かを説明していたが、私はつんぼみたいにナースの口元をひたすらじっと見つめるだけであった。
 
 その後少し意識は回復し、会計を済ませ、小さな目薬の容器に入った下剤と、モビプレップをもらって帰った。小さい方は検査前夜に飲むものらしい。モビプレップの方は、どうやら腸内洗浄液の名称で、内視鏡前に腸を綺麗にするために用いる薬らしいが、しかし使い方の説明を全く聞いていなかったので、とりあえず薬と一緒に付けてよこした取扱説明書を読んでみる。

 ー モビプレップとは、腸内洗浄液の名称で、内視鏡検査前に腸を綺麗にするために用いる薬のこと、らしい。お薬を2Lの水で溶解してください。そしてそれをコップに移し、一杯を10〜15分かけてゆっくり飲んでください。その後は一杯の水を飲み、再びモビプレップをー、というのを便が透明になるまで繰り返します。(最低でも1500mlは飲みましょう)ー

 め、めんどくせー。
 だが四の五の言っている場合ではない。私の健康がかかっている。

 そうして、いく日が過ぎ、検査当日。
 
 朝9時からモビプレップを服用し、水、服用し、水、服用し・・・を、まるで怪しい宗教の儀式のようにひたすら繰り返していたら、昼過ぎには便が完全に透明となったので、私は検査を受けに病院へと車を走らせたー。

続く
 
↓続き


初めての内視鏡検査 〜そこに至るまでの経緯〜 part.2

 病院で痛み止めを打ってもらったおかげか、そこからハライタはすっかり鳴りを潜め、その後しばらくは腹痛とは無縁の日々を過ごした。

 しかし、ちょうど約ひと月が経とうとする頃、私は再びあの'内臓が出そうな痛み'に襲われ、またしても七転八倒。這いずりながらなんとか薬箱に手を伸ばし、前回貰っていた強めの痛み止めを服用できたのでその後難は逃れたが、けれど、普通に考えて、やっぱりこりゃ何かあるべさね。こんなに痛いのならば何もない方が不思議。ひょっとして、あの救急病院の医者はヤブだったんじゃない?学校出たてみたいなあんちゃんだったしな。
 
 てなわけで、もっと詳しくみてもらうため、今度は婦人科を受診。
 だが、いくら調べても悪いところはさっぱり見当たらない。
 
 なので、立ち返って内科を受診。
 今度はMRIなどを撮ってみたり、肛門に耳かきを巨大化させたようなものを突っ込まれて菌を採ってみたり。

 「うーん、腸が腫れてるな。軽い腸炎になってるね。でもそこまで痛いと大腸癌とかの可能性もあるから、ちょっと調べてみようか。」
 医者のこの言葉に、つまらぬ諧謔で申し訳ないのだけれど、まさにガーン、となった。まさか自分が・・・癌?

 続く